日本の風土に適したマットレスとは。

 

 日本は南北に長く、それぞれの地域、また四季によって、気候や温湿度が大きく異なります。日本にふさわしいマットレス(敷き寝具)はどのようなものでしょうか。

1.日本で初めて使われたマットレス(敷き寝具)。

 日本のマットレスの歴史を紐解いてみると、想像以上に古く、今から1200年以上前、聖武天皇が概に使っていたとされます。「御床」(ごしょう、おんとこ)と呼ばれるベッドはスノコ構造のひのき製。その上に黒地の錦で縁取りした畳、さらに褐色地の錦の褥(じょく)が敷かれていたようです。また、さらに古く、古墳時代前期の住居跡からもベッドの痕跡が発見されていると聞きますから、そうなると、敷き寝具の歴史は1600年前にまでさかのぼることになるのかもしれません。

 古き時代の畳は今の畳ではなく、マットレスを示します。形は蓆(むしろ)を重ねて、糸で綴じたようなもの。素材はいぐさ、まこもなど。蓆を幾層にも積んだものを「八重畳」と呼びます。動物の皮を重ねたものもあったようです。ヒトは古くからずっと、快適な寝床を求め続けてきたのです。

 

2.日本にふさわしいマットレス(敷き寝具)の条件。

 現在、マットレスは1920年代に発明された鋼線バネの上下にウレタンやフェルト等の詰め物を当て、布製のカバーで被ったスプリング構造が主流。近年はウレタン単体、天然ゴムを発砲させたラテックスなどバネのないものが増えつつあります。

 一方、四季の環境変化が大きい日本では、夏の湿気の対策が課題です。

 寝るときに使う掛け寝具と敷き寝具。それによって、体の周囲に寝室環境と遮断された小さな空間ができます。この空間の空気の状態を寝床内気候といいます。温度と湿度は寝床内気候の快適度に強く影響を与えます。掛け寝具と敷き寝具の間には人体があり、そこから熱が発生、水分が放出されます。そのため、寝床内は部屋や外気とは異なった気候状態になります。

 寝床内気候に四季の変化はあるのでしょうか。一般的に寝床内の温度は、掛け布団などで調整されるため、どの季節もあまり変わりません。一方、湿度には大きな変動が見られます。特に夏季は顕著です。

 今までの研究によると、夏季には敷き布団と背中が接する部分の相対湿度が90%を上回ることがあるとされます。理想的な湿度は50±5%程度ですが、それと比べると大きな開きがあります。睡眠中にかく汗の量は、通常一晩にコップ1杯ほど。気温が高い夏はその量が普段以上に増えます。汗は背中の湿度を高め、不快な蒸れ感を招きます。背中の温まった湿気を換気するために寝返りが頻発、その結果、深い眠りが得にくくなります。夏の快眠の秘訣は背中の湿気を抑えること。調湿性の高い素材のマットレス(敷き寝具)は、背中がさわやかな状態になり、不要な寝返りが減少します。