マットレスは寝姿勢、寝返りがポイント。

 

 「枕の選び方」のコラムで、枕をしたあおむけの姿勢では、背骨全体のカーブが立っているときよりも少しなだらかな状態が通常だと述べました。今回は寝姿勢とマットレス(敷き寝具)の関係、そして、寝返りについて考察します。

 

1.寝姿勢を整える

 なぜ人は2本の足で立てるのでしょうか。背骨が上半身を支えているからではありません。このことは、テントの支柱を思い浮かべると分かりやすいかもしれません。支柱はキャンパスとロープで四方から引っ張られているから立っているのであって、自力で立っているのではないのです。ロープが緩むと、支柱の角度が変わります。背骨も同じことです。背骨の周囲の筋肉が引き合って背骨を立てています。引き合う強さが変わると姿勢が変わります。

 では、なぜあおむけ姿勢では背骨のカーブが緩やかになるのでしょう。立っているときは骨盤の上に背骨が乗り、その上に頭を据えています。脊骨につながる鎖骨には両手がぶら下がっています。こうした重い上半身を支えるために背骨はS字形に湾曲しています。一方、あおむけの状態になると、背骨は縦の重力から解放されます。その結果、立っているときに比べて、背筋が少し伸びて、S字のカーブが浅くなります。

 S字カーブが乱れるのはどんなときでしょう。人間の体は頭部、胸部、尻部、脚部という4つのブロックとそれをつなぐ接合部分からできていて、そのジョイントに当たるのが頚椎と腰椎、脚の関節と考えられます。横になって眠ると筋肉が緩んで4つのブロックにはそれぞれ別々に重力が働きます。4つのブロックで最も重いのが尻部。全体のおよそ44%の荷重を受けます。胸部には約33%、脚部には約15%、頭部には約8%の荷重がかかります。

 眠りに就くと、筋肉はだらりと力の抜けた状態になります。眠っている間は自分の力で姿勢を支えられず、枕と敷き寝具で体を支えることになります。睡眠中にしっかり体が支えられていないと、重い尻部と胸部が頭部や脚部よりも下がって、体がW字形になってしまいます。そうなると、腰への負担が増し、腰痛を招く原因になることもあります。こうした理由から、フワフワ柔らか過ぎたり、中央がへたったりしたマットレス(敷き寝具)はお勧めできません。

 

2.寝返りのしやすさ

 睡眠中は朝まで同じ姿勢で過ごすことはなく、寝返りによって、あおむけと横向けがバランスよく現れるのが通常です。

 寝返りには体の重みがかかっていた部分の血液循環が悪くならないようにする働きがあります。また、日中の活動でひずんだ背骨を矯正する役割も果たしているとされます。そうした寝返りは必要な寝返りです。

 一方、敷き寝具が柔らか過ぎると、フワフワとして体の姿勢維持が不安定になり、体を正そう筋力が働き、姿勢を変えようとして寝返りが頻繁になることがあります。これは姿勢を立て直すための寝返りで、目を覚ましてしまうこともあります。こうした寝返りは不要な寝返りと言えるでしょう。

 

3. マットレス(敷き寝具)は固い方が良い?

 では、敷き寝具は硬い方がよいのでしょうか。そうではありません。平らな硬い面に寝ると、尻が持ち上がり過ぎて、腰椎のカーブが自然な弧を描けなくなります。そのうえ尻部に体圧が集中するので、周囲の筋肉がリラックスできなかったり、強い圧迫感を覚えたりします。筋肉の緊張が続いたり、圧迫が強かったりすると寝返りが頻発化します。

 睡眠中は日中に姿勢を保っていた筋肉を十分に緩めて、必要な寝返りをしっかり行い、不要な寝返りを減らすことが重要です。そのためには、体の重い部分が沈みこまず、筋肉が緊張しない状態で体を支える必要があります。マットレス(敷き寝具)は上層に適度なクッション性、下層にしっかりとした支持性があるものを選ぶとよいでしょう。