RENMEN
2アイテム
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衣料や寝具などの繊維産業は原材料の調達、生地や製品の製造、輸送から廃棄に至るまで、環境に多大な影響を与えています。
繊維製品の生産には大量のエネルギーと水が必要です。繊維の製造過程では膨大なCO2 が排出され、原料となる綿花など植物の栽培には大量の水資源が消費されています。服一着あたりのCO2の排出量は約25.5㎏、水消費量は2,300リットル※1とされます。紡績、染色、裁断、縫製等の各工程で環境負荷がかかり、製造過程では裁断くず、端切れが発生します。国内では1日あたり約1300トン※1の衣服が焼却・埋め立てされているそうです。
寝具類については東京23区で年間約140万点が粗大ごみとして回収※2されます。日本全体での寝具類の廃棄量に関する資料は見当たりませんが、東京23区の1人当たりの廃棄量を日本の人口で掛け算すると、年間約1,800万点もの大量の寝具類が回収されていることになります。国内で販売されている寝具の多くは海外生産品です。生産地の環境負荷に加えて、廃棄・焼却に伴う国内の環境負荷も小さいものではありません。
廃棄を減らすためには、耐久性・リサイクル性を考慮した設計、メンテナンスしやすさなどの製品の長寿命化が最も有効だと考えられます。「大量生産・大量消費・大量廃棄」から「適正生産、適量購入、循環利用」への移行には、生活者と企業の協力が不可欠です。
私たちは持続可能な寝具生産と消費の形態の確保に繋げたいと考え、新たなプロジェクトを始動しました。資源の効果的利用、地産地消、リサイクル、アップサイクル、再生可能エネルギーの活用、生産プロセスの見直し、廃棄物の削減と循環などを通して環境負荷の低減に取り組みます。つくり手、使い手、地球のつながりがずっと長く続くことを願って、このプロジェクトを「RENMEN®」(連綿)と名付けました。
寝具は生地を縫製し、中わたを充填して製造しますが、生地の検反工程で織りキズ、汚れ等が発見された部分は裁断時に取り除きます。また、用尺の足りない生地や生地の端等はハギレとなります。こうした裁断くずを捨てることなく集め、再度紡績して糸に使用します。
砂糖製造の工程で発生するさとうきびの搾りカスが「バガス」です。沖縄では年間に約20万トン発生するとされます。この「バガス」を日本の和紙の製造技術で加工。バガス和紙と綿を撚り合わせて糸にすることで、さらっとした肌触りが特徴の生地に織り上げています。
羽毛は保温力が高く、化石燃料に頼らず暖かさを得ることができる自然の贈り物です。古い羽毛ふとんを回収し、貴重な資源であるダウンを取り出し、洗浄した後、独自のイオン化技術で清潔度を高めます。使われなくなった羽毛を再利用し、循環につなげる新たな試みです。
森林の成長を促進するために、過密となった一部の木を取り除く間伐作業。日本の森林を保全する際に得られた針葉樹の間伐材を有効利用しました。間伐材をパルプ化し、和紙に加工。その和紙を細く裁断し、撚って糸を作り、織物に仕上げています。
イワタの滋賀工場では、キャメル毛やヤク毛、ホースヘア―等の天然毛を製品化する工程で、毛の断片や塵がゴミとして発生します。それを集めて、専門の肥料工場に持ち込みます。天然毛の不純物から植物の健康的な成長を促す有機肥料が生まれます。
検反工程で生じたハギレが素敵な布に生まれ変わります。布を細く裂いてよこ糸をつくり、経糸を通した織り機で一段一段、手作業でていねいに織り込む。「裂き織」と呼ばれる伝統的な手法です。人の手を通じて、ものを愛おしむ気持ちも一緒に織り込まれています。
《参考》
東京23区寝具類粗大ゴミ個数(令和3年) 1,419,306点 (内ふとん1,034,811点)
東京23区人口 約972万人(令和3年)
東京23区一人当たり寝具類粗大ごみ個数 0.146個 (内ふとん0.106個)
日本の人口 1億2447万人(令和5年4月)
日本全体の寝具類粗大ごみ個数の推計 0.146個×1億2447万人=1,817万個
(内ふとん 0.106個×1億2447万人=1,319万個)