熱帯夜対策 -寝苦しい夜を乗り切るコツー
暑い夏、夜になっても気温が下がらず、寝苦しくて困ることはありませんか。「寝床に就いてもなかなか眠れない」「眠ってもすぐに目が覚めてしまう」、そんな方が多いのではないでしょうか。
1.夏に不眠を招く2つの原因。
・寝室の気温上昇。
夏は気温と湿度が高く、寝室の環境は快適とは言い難い状態なります。気温の高さに加え、日中に暖まった壁や天井の輻射熱の影響を受けるためです。その上、ジメジメと湿度が高い。寝室の気温が28℃を超えると、睡眠の質が悪くなり、体内の温度が下がりにくくなります。ベッドに入っても、なかなか寝付けないのはそのせいです。また、体温低下が少ないと眠りが浅くなるため、途中で目が覚めやすくなります。
・寝床の湿度上昇。
睡眠の途中で目が覚めてしまうもうひとつの原因は「背中のムレ」です。睡眠中にかく汗の量は通常、一晩にコップ1杯程度ですが、夏は気温が高いので発汗量が通常の2倍以上にもなります。汗は敷き布団に接する背中の湿度を上昇させ、相対湿度は80~90%にも達することがあります。こうした背中の不快なムレを取り除こうと、シーツの冷たい部分を求めてはゴロン、ゴロン。寝返りは冬の2~3倍になります。
2.頻発する寝返りの問題。
寝返りでムシムシした背中の湿気を換気しているのですが、そのたびに眠りは浅くなっています。体が静止している時間が短すぎると、深い睡眠は得られません。
寝返りの頻度に加え時間帯もよくありません。ノンレム睡眠中にも寝返りが増えるので困ったものです。寝返りは通常レム睡眠の前後に多く現れます。入眠後70~110分ごとに訪れるレム睡眠は元から大脳の眠りは浅く覚醒に近い状態。それに対し、ノンレム睡眠では大脳が深い休息状態になるべきですが、寝返りが多いと深く眠れず、脳の温度低下が少なくなります。その上、疲労回復に役立つ成長ホルモンの分泌も睡眠前半のノンレム睡眠に集中しています。さわやかさが足りない目覚めになりがちなのはこのためだと考えられます。
3.寝苦しい夜を乗り切る秘訣とは。
・「麻」で背中の湿度を抑える。
夏の快眠の秘訣は背面の湿度上昇を抑えること。敷きパッドやシーツを工夫して背中をさわやかにすると、不要な寝返りが減少します。素材は熱伝導に優れ、吸湿放湿性に富む「麻」が適しています。サラリ、サワヤカ。月並みな表現ですが、麻の触感を表す言葉はこれ以上のものが見つかりません。麻は体の熱を素早く逃し、吸い込んだ汗を乾かしてくれます。大自然が育んだ高機能の繊維なのです。
・四季を通して快適な「キャメル毛」
意外に思われるかもしれませんが、キャメル毛も夏に適した素材です。高温で多湿な夏の寝室を想定した温度29℃、相対湿度70%に保った人工気候室で実験したところ、キャメル毛を用いた寝具では寝床内の湿度が相対的に低く、快適に保たれていました。心理評価でもキャメル毛ではムレ感が少なく、部屋の温度を下げたいという要望も少なかったのです。冬に温かいことで知られるキャメル毛ですが、放湿性に優れ、湿度を調整する機能が高いため、日本の夏の敷き寝具素材としても機能的に適していると考えられます。
・ワンポイントアドバイス
夏は布団を夕方まで干さないように。西日に長く当てると熱がこもってしまいます。正午~午後2時ごろの間に1時間程度で乾燥させるのがおすすめです。
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