寝具・マットレスの選び方。快眠のために知っておきたい2つの基本。

  寝具を選ぶときは、何を基準に選べばよいのでしょう。「寝具は保温性が一番大切だ」とよく言われますが、本当でしょうか。 

1.温度について

 掛け布団と敷寝具の間、つまり「寝床内」の状態と快眠との関係はそれほど簡単ではありません。保温性以外にも寝具選びの重要なポイントがあります。

 寝床内の温度が皮膚温を超えると暑さで発汗が進み、体力を浪費して深い睡眠は得られません。ヒトは皮膚の表面から熱を放散し、脳や臓器の温度が上がり過ぎるのを防いでいるからです。一方、寒すぎても筋肉に力を入れたり震えたりして、安眠できません。

 皮膚表面から体温が少しずつ放たれ、しかも寒さを感じない33℃ぐらいが快適な寝床内温度です。つまり、寝具には四季を通して、寝床内の温度を33℃ぐらいにキープできる機能が必要なのです。

 また、体に沿わない掛け布団も問題です。フィット性が悪いと肩口や足元から冷気が忍び込み、寝返りのたびに隙間風を呼び込んで不快感を招きます。

2.湿度について

 寝床内の湿度についても考える必要があります。眠りに就くと皮膚表面の温度が高くなり、発汗量が増えます。熱が放たれて、脳や体内の温度低下が進みます。ヒトが一晩の睡眠中にかく汗の量はコップ一杯分程度ですが、夏は気温が高いため発汗量が通常よりも多くなります。汗は敷き寝具に背面の湿度を高くし、相対湿度は80~90%に達することがあります。

 睡眠中に身体から放出された水分は寝具を通して室内と床方向へ移動します。寝具には水分を吸い込み、透過させて放出する機能が必要です。

 寝床内の湿度は50%ぐらいが快適とされていますが、発汗は季節による差が大きいため、湿度のコントロールは温度よりも難しいとされます。

 このほか、個人差も考慮する必要があります。体質、体調、病歴、体型、生活習慣などで体の発熱量や発汗が違います。寝室によっても部屋の温湿度は変わりますので、家族でも同じ寝具での満足は難しいものです。自分に合った寝具を選びましょう。

 

 寝具・マットレスを選ぶときに重要なのは、1.温度、2.湿度、そして、個人差、寝室環境です。下記のコラムでは掛けふとん、マットレス、枕などの寝具の選び方のポイントをわかりやすくお伝えしています。

 

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